産婦人科の現職教授が書いた本ということで、前作のノーフォールトのような医学的な内容の本かと思い気やさにあらず。
大学病院で起きた新生児誘拐事件から物語は始まるが、次々に噴き出す謎・謎・謎、海外にまで広がる話の舞台、途中に挿入された謎の人物の謎の行動、手に汗握るアクション、これらが、小憎らしいほどテンポよく進む。この本は、正に、刑事が主役のスリルとサスペンスの本格推理小説だ。
そこに、生殖医療を中心とした産婦人科医療の現状、現在進行中の生殖医療にかかわる最新研究も織り交ぜられ、医学的にも興味深い。特に、書かれている研究が本当に進行中のノンフィクションなのか、あるいは全くのフィクションなのか、境界があいまいに書かれている分、話の世界にぐいぐいと引き込まれてしまう。このあたりは、昔、大ヒットした、鈴木光司の「リング」や「らせん」に通じるものがあり、この本も、大ヒットの予感がする。
最後は、単にすべての謎が解けてスッキリというだけでなく、ほのぼのとした余韻が残るのは、著者の温かい人柄の表れであろう (これは最後まで読んだ人でなければ味わえない)。
ぜひ、映画なり、テレビドラマなり、映像化され、多くの人に見てもらえることを祈る。