引きの強い終わり方で締められた1巻。
この物語はどういう終わり方を迎えるのだろうとはらはらした気持ちで
2巻を読み始めましたが、1巻で祐一達が巻き起こした事件は冒頭で
あらかた終わり、今度は取り戻した日常の中で物語が展開していきます。
時間にしてみればたった二日の間に繰り広げられた強烈な体験によって
自分の生を取り戻した祐一。
2巻ではその祐一となし崩し的に見合いで結婚した妻・美晴が登場しますが、
この美晴という女性、菅野先生の描く「強い女性」の代名詞の様な人で、
強烈な個性の彼女を交えたホームコメディの様なやりとりにはお腹を痛めました。
しかし、タイヨーの過去に因んで深刻な社会問題なども絡め、そこでの美晴さんの
考え・意志に思わずハッとさせられるなど、作品に厚みを生み出し美晴さんの
キャラをしっかりと活かし特徴づける展開は流石だなと感心させられました。
そして、祐一とは対照的に自分の過ちが引き起こした過去の出来事に対し
ずっと自責の念を抱えたままでいるタイヨー。
表面上は明るく振る舞う彼が痛々しく映りますが、少しずつではあるけれど
生きていく中で彼が癒し、許されていく様子が描かれています。
きっと彼は一生後悔を抱えたまま生きていくと思いますが、無理にそれを昇華せずに
抱えながらでも生きていくことを肯定するこの作品の優しさに、何か救われた思いがしました。
また、山田睦月先生のセリフにインスピレーションを受けて原案が生まれたという
50ページにも及ぶ描き下ろしの続編「終わらない旅」が最後に収録されています。
祐一とタイヨー、二人が体験したあの二日間の出来事の旅路を辿りながら
最後には家に帰るというささやかながらしみじみと良い話です。
2冊通して、非常にハラハラさせられたり、胸に刺さるセリフやシーンが沢山ありますが、
総じて人の再生していく様がテーマとして描かれたとても温かい作品でした。
山田睦月先生の穏やかながら一本芯の通った絵柄は非常にこの作品と合っていると思いますし、
何よりも表情一つ一つでしっかりキャラクターの感情が伝わってくるので、より一層の切なさ
を生んでいるのだと思います。
是非、またお二人の組んだ作品を読んでみたいです。