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デカルトの誤り 情動、理性、人間の脳 (ちくま学芸文庫)
 
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デカルトの誤り 情動、理性、人間の脳 (ちくま学芸文庫) [文庫]

アントニオ・R・ダマシオ , 田中 三彦
5つ星のうち 4.7  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

1848年、米北東部の鉄道施設現場で事故が起き、鉄棒が現場監督P・ゲージの前頭部を貫通した。それを境にゲージの性格と行動は一変した。著者自身が携わってきた症例やゲージのような歴史的症例をもとに、著者は、日常生活の折々の場面で求められる合理的な意思決定には、そのときの身体状態と不可分に結びついている情動と感情の作用が不可欠であることを明らかにした(「ソマティック・マーカー仮説」)。神経科学の第一人者が、いまもさまざまな形で社会に浸透しているデカルト的心身二元論を強く批判しつつ、有機体としての心‐脳‐身体の関係を解くベストセラー。新訳文庫版。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

ダマシオ,アントニオ・R.
1944年、ポルトガルのリスボン生まれ。アメリカの神経学者・心理学者。1976~2004年、アイオア大学教授を経て、2005年には南カリフォルニア大学のBrain and Creativity Instituteを設立した。Prince of Asturias Awardsなど多くの賞を授与され、世界中でもっとも読まれ、活躍している神経学者

田中 三彦
1943年、栃木県生まれ。科学評論家、翻訳家。東京工業大学工学部生産機械工学科卒業後、企業のエンジニアを経てサイエンス・ライターになる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 文庫: 438ページ
  • 出版社: 筑摩書房 (2010/7/7)
  • ISBN-10: 4480093028
  • ISBN-13: 978-4480093028
  • 発売日: 2010/7/7
  • 商品の寸法: 14.8 x 10.6 x 1.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.7  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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形式:文庫
西洋では、デカルトの二元論に基づく人間の探究の歴史が相当長いようで、心理学や脳科学においても、理性だけ、知能だけ、大脳皮質だけ、というように、有機体である人間のなかで「思考」に関係のある部分だけを無理矢理切り分けて研究することが主流のようです。

東洋では、老荘思想を受け入れてきた長い歴史がありますが、学術の世界やビジネスの世界では西洋からの思考方法・実践方法を取り入れてきたことから、やはり人間という有機体を切り刻んで研究・実践することが目立ちます。

このような状況のなかで、本書は、脳は人間という有機体を生存させるために進化・適応してきていること、脳は身体がなければ、身体からの反応がなければ機能しないこと、を様々な研究結果や著者の仮説を踏まえて解説しています。

理論の中核は「ソマティック・マーカー仮説」で、概略としては、外部環境の変化の知覚(視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚)⇒内部環境(身体)の状態の変化(これが「情動」)⇒状態の変化の知覚(これが「感情」)⇒推論&意思決定(これが「理性」)⇒行動、という有機体全体にわたるループによって人間は生きている、というものです。
これによって、理性を働かせるためには情動や感情が必要不可欠であることがわかり、純粋理性というものは存在しないことがわかります。
また、このことから人間の理性だけを無理矢理切り出して研究している心理学・脳科学の理論は、全体を表していないことになります。
更に、このことから合理的人間を前提に置くことで理論化している全ての経済学は、根本から再構築しなければならないことになります。

また、心とは脳と身体との相互作用から生まれる様々なボディ・マップのバランスから生まれるとしており、心についてホムンクルス誤謬に陥らずに適切な理論を提示しています。

本書は、人間そのものを正しく理解するための中核的な位置づけになるものだと思います。
人間に関する様々なレベル・エリアの研究や主張がこれまでも、これからも数多く生み出されるのでしょうけれど、本書はそれらの是非を検証するうえで非常に役立つものだといえます。

あと、本書の中核ではありませんが、著者の研究過程で知能について触れられています。
個人的・社会的なものを扱う脳領域(前頭前・腹内側部)と、数学・物理・論理といったものを扱う脳領域(前頭前・背外側部)が異なるということです。これは、ハワード・ガードナーやダニエル・ゴールマンが提唱している多重知能(人間の知能はIQだけではない)、EQ(Emotional Intelligence)、SQ(Social Intelligence)が最高レベルの脳科学者によって立証されたということです。
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7 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
再読必至 2011/8/4
形式:文庫
 ダマシオ氏の名著である。初版が1994年で翻訳が2000年ということだが、訳者あとがきには「生存する脳」というやや理解に苦しむ題がついていたとのことである。
 第3章まではそれほど予備知識がなくてもある程度読み進められるが、それ以降になると類書を読んでいないとかなり理解が困難になる。本書にも出てくるダニエル・デネットやリチャード・ドーキンスの著作を読み、予備知識を多少持っていても簡単に読み進めることはできなかった。
 この本の中心的なテーマはソマッテック・マーカー仮説なのだが、その前提となる様々な理論の理解なしにはその仮説の重要性を理解することは難しいだろう。一読では到底足らず、再読、三読する必要がありそうだ。
 なお、訳者あとがきでは先ほど紹介した「生存する脳」には翻訳に問題があり、章立ても違っていたとのことである。今回は全面的に翻訳を改定した、とあるので多少読みやすくなっているのかもしれない。一応確認のため、原書も取り寄せて読むつもりである。
このレビューは参考になりましたか?
22 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
「ある外部リアリティがあるとき、活動中の純身体という媒介物をとおして、つまり純身体の変化の表象を介して、われわれはそれについて知る」

冒頭の言葉は、著者の提起したソマティックマーカー仮説を端的に表したものです。著者は、日常生活の様々な場面で求められる合理的な意思決定には、そのときの身体状態と密接に結びついた情動と感情の作用が不可欠であると考えます。

この身体状態に依存する意思決定のシステムのおかげで、私たちは可能性のあるすべての選択肢に対して推論をほどこす必要はなく、生物学的メカニズムがまず予備選抜を行なって、残った候補を吟味し、そのうちのごく少数を厳密に検討すればよいのです。これが、創造性の源泉である直観の機能するメカニズムであるという著者の主張には説得力を感じます。

さらに、脳には、身体状態をバイパスして、「あたかも」今ある情動状態を有しているかのようにわれわれに感じさせる機能があると提唱します。著者はこれを脳の「あたかも」装置と呼びます。

「幸運にも比較的健全な文化で育ってきたわれわれの多くがもっている自動化されたソマティック・マーカー装置は、教育により、その文化の合理性の標準に適応するものとなっている。つまり、ルーツは生体調節にあるにもかかわらず、その装置は特定の社会での生存を保証する文化的規定に合うように調整されている。もし脳が健常で、しかもその脳を発達させる文化が健全であるとすれば、その装置はその社会の慣習と倫理に関して合理的なものになっているだろう。」

今の日本の閉塞状況は、このソマティック・マーカー装置が機能不全に陥っているせいなのかも知れません。映画『インセプション』で描かれた潜在意識を植え付ける操作は、脳の「あたかも」装置を使って、ソマティック・マーカーを書き換える作業と理解することができます。機能不全に陥ったソマティック・マーカーを再起動させることができる夢はないものか。そんな空想をします。戦後の復興というのは、まさに国民すべてが同じ夢を見たことが原動力となったように。
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