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その一つは、分析的方法で、それは「対象を方法的に、そしていわばア・プリオリに発見する真の道を指し示す」もの。
もう一つは、綜合的方法で、「定義、要請、公理、定理及び問題の長い系列を用い、従ってそれは人がそのいずれかの結論を否認する場合、その結論が前提の中に含まれていることを直ちに示すことができ、このようにしてどんなに反抗的で強情な読者からも同意を奪取することができる」もの。
本書は、デカルトが「分析的方法」で書いた事柄をスピノザが「綜合的方法」に書き改め、幾何学に通有の方法で証明したものである。これが極めて細心に行われているために、デカルト哲学の目立たない難点や問題点が本書により表面化してくる。デカルト哲学の理解のためにも、本書は極めて有用であろう。
デカルトとスピノザの哲学上の考えは大きく異なっているが、スピノザはあくまでもデカルトの哲学を講義するという立場から、自説はできるだけ控え、さりげなく示唆するだけに止まっている。スピノザが解説者を徹しているために、本書はとても分かりやすい。
附録の「形而上学的思想」は後記スコラ哲学の学説をデカルト的観点から批判的に解説したものである。こちらは、幾何学的形式ではなく、普通の文章で叙述されている。扱われているのは主に「本体論」である。有の諸々の情態と神及び神の諸属性や天使、人間精神、偶有性などについて論じられている。この論文においてもスピノザは自説を強く主張はしないが、「デカルトの哲学原理」よりもスピノザの思想が混入していることが興味深い。スコラ哲学への批判・反撥の感情が窺える。
本書はスピノザ自身の純粋な思想は盛られていないものの、スピノザに大きな影響を与えたデカルト哲学が分かりやすく解説され、またスピノザのスコラ哲学に対する批判的な立場を間接的に窺うことができる。スピノザ哲学の理解には欠かせない書であろう。
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