ここまでアルバム一枚一枚、実験的に野望たっぷりの音楽の範囲を越境し続けるバンドも珍しい。前作のどれよりも、今回のアルバム、ダンス・ポップというよりももはやシンセ・ポップ。イングランドの三人組ピアノロックバンドKEANE(最新作Perfect Symmetry)のように、誰もが親しめる、そんな『敵をつくらない』という感じのアルバム。
処女作HOT FUSSのような少しトゲのある攻撃的なサウンドが一転して、こんなふうに優しい楽曲のアルバムを彼らが作るとは思わなかった。ボサノバ的な"JOY RIDE"は特に今回のアルバムのキーとなる楽曲。他にも、 世界の民族音楽を所々取り入れ、あいかわらず彼らの地元L.A.の風土をたっぷり嗅がせてくれるアルバム(同じL.A.出身のMaroon 5とはまた違う郷土愛を感じる)。圧巻なのは、イマジネーション。"Human," "Spaceman," "A Dustland Fairytale," そして"Neon Tiger."曲のタイトルだけみてもこんな想像力豊かな歌詞に曲をのせることのできる、彼らの音楽的才能のスコープの拡大版をこのアルバムで垣間見ました。HumanはVictoria's Secret Fashion Show 2008でも使われるほど、2008アメリカを代表する曲に育ちました。捨て曲なしの渾身のアルバム。