それに基づいたデイヴィッドソンの真理条件的意味論の解説。
その解説は、非常に分かりやすい。
その理由は、本書がデイヴィッドソンの用いている具体例を使って、プログラムの意味をさらに具体的にしながら、内容を解説しているためであろう。たとえば、デイヴィッドソンがなぜ意味論構築プログラムにおいて、意味の外延にこだわったのか、内包ではどうしてだめなのか、が「ガリレオが地球が丸いと言った」という文などの事例を引きながらわかりやすく解説される。
第二に、デイヴィッドソンのプログラムを哲学的背景の中で位置づけしながら、解説しているからである。たとえば、「意味の不確定性」では、まずデイヴィッドソンの依拠したクワインの「翻訳」プログラムの概説され、その上でデイヴィッドソンがついたクワインのプログラムの欠陥を平易に解説されているために、読者はデイヴィッドソンプログラムの動機、その特徴が他と区別されてよく見えてくる。
第三に、デイヴィッドソンの哲学プログラムをそれこそ全体論的に関連させながら、広範囲にわたって扱っているためである。例を出すと、デイヴィッドソンの認識論、相対主義批判の主張は根元的解釈の内容抜きには理解されない。この本ではそのような有機的連関をうまく浮き彫りにしている。
以上のことから、デイヴィッドソンについての解説した邦訳文献としてこの本はぬきんでていると思う。