自分の業種に関わることのなので新刊ですが読んでみました。
これは本当に優れた伝記です。
とにかく膨大な調査を通じてオグルヴィ氏の人交友関係やメモを掘り出しているので、この本を読んでいると、まるで自分が1950年代のニューヨークのど真ん中にいるような錯覚を覚えます。
そして、著者ローマン氏は部下として長い間苦楽を共にしただけあって、本当によくオグルヴィ氏の人となりを理解していると思います。下手に持ち上げることもなく、しかし、しっかりと思慕と愛情をもって師を描いているのが伝わってきます。
この本を読んだ人はきっとデイヴィッド・オグルヴィをIT企業にいるような一辺倒な「強権的カリスマ」ではなく、どちらかというと「古典文学好きでコンプレックスまみれのインテリ」だと思うことでしょう。(F.S.フィッツジェラルドみたいですね。)
ただ、彼のすごいところはそういったナイーブな感性を失うことなくぐんぐん進んでいくところです。
立ちふさがる巨大な障壁にがっつり怯み、焦燥しながらも、それを正義感や美学で乗り越えていくところです。
ここらへんはもうアーサー王物語並の武勇伝ですのでどうぞ本書を購入して楽しんじゃってください。
構成もうまく、読んでいて飽きることがありません。472ページくらいありますが3日で読み通してしまいました。原著は読んでいませんが、翻訳も上手だと思います。
2000円でこの分量、クオリティ。
ケチのつけようがありませんね。