2019年、人類の95%がヴァンパイアと化した世界。
希少な「人間」は捕えられ血液採取の「資源」として扱われています。
間もなく「資源枯渇」が迫る中、人造血液開発に希望を託すエドワード(E・ホーク)はある日、謎めいた男、コーマック(W・デフォー)と出会い、
彼の驚くべき秘密を知らされるのだが・・・。
オーストラリアから来たスピーリグ兄弟監督による「変則的ヴァンパイア映画」
近未来が舞台であることやスタイリッシュな世界観の表現などは「マトリックス」の影響を強く感じさせます。
これまた流行りの「吸血鬼」モノではありますが人間の血を吸えず、飢えが一定期間以上続くと理性を失った「怪物」と化すなど、
巧くモンスター映画の要素を盛り込むなど、工夫が見られます。
光を嫌うヴァンパイアの世界は基本モノクロ調で表現されていることもあって中々お洒落な雰囲気。
主人公たちのファッションもクラシックなヨーロッパ調で中々雰囲気は巧く出来ております。
「吸血鬼」ジャンルって実はムードがとても重要なんですよね。
「死なない」吸血鬼の世界になったからといって世界が楽園となり得ていない点も興味深く、
実際には貴重な人間の血液を摂取できるかどうかは「富と貧困と格差」の問題を浮き彫りにしていたり、
信条として自らの意志で人間の血液を拒否するヴァンパイアもいたりするのは社会風刺としても面白い。
しかし本作の肝は中盤以降の展開にあって、ウィレム・デフォー演じる謎の男の数奇な運命がイーサン・ホーク演じる科学者と、
ひいては世界全体を揺さぶる変革に発展して行く風呂敷の広げ方にあります。
といってもあくまでもエンタティメントの姿勢から外れるような愚は犯しておらずアクションシーンもたっぷり。
ご丁寧な事にクライマックスはヴァンパイアというよりゾンビ物じみたシーンも出てまいります。
あまりホラー度は高くありませんが「変調SF/ホラー」としては十分及第点。
ちなみにこの監督たち、次回作はかなり以前から噂になっていたあの「ダーク・クリスタル」の続編
”The Power of the Dark Crystal”だそうです。