1981年の作品ですから、もう30年かぁ。
恐らく今の若い世代の方々にはあまりなじみのない作品でしょうが、これはやっぱり見ておくべき作品でしょう。
「ジョーズ」や「スターウォーズ」といった世界的な大ヒット作の登場によってアメリカ映画の優位がゆるぎないものになりつつあった時代に、フランスから突如登場した本作が如何に新鮮だったことか!
80年代以降のアメリカ映画は「面白ければそれでいい」と開き直ることで世界市場を席巻して行ったわけです。
それを可能にしたのはコンピューターをはじめとした最先端のテクノロジーの導入であったわけで、その点は現在も変わってませんね。
しかしCG映像が氾濫する現状を見れば、そのアプローチが限界に来ているのも、また事実だと思います。
簡単に言えば「アクション」や「絵」はすごくても「何が言いたいのかわからない」「作り手の情熱が感じられない」作品ばかりが氾濫している気がします。
本作「ディーバ」の素晴らしさはアメリカ映画に代表されるエンターティメントのエッセンスとフランス映画らしいセンスとこだわりがミックスされて唯一無二の味を醸し出している点にあります。
オペラ歌手、シンシア・ホーキンスのパフォーマンスを録音した海賊版デモテープを巡って主人公である郵便配達人ジュールズはパリの迷宮めいた世界へと足を踏み入れてしまいます。
スキンヘッズの凶暴な殺し屋やパリ市警に追われる彼にベトナム系の少女、アルバと彼女の”パートナー”謎の男ゴロディッシュが手を差し伸べて・・・
それまでの仏映画には見られなかったようなアクション(パリの地下鉄構内を原付で駆け抜ける!)やスタイリッシュなサスペンス描写にはアメリカ映画の影響が如実に見られます。
しかし人間関係や感情、物語の全てを「見せる/語る」ような無粋なことはせず、独特のムード・凝った映像・謎めいた人物造形によって観客に自由な受け取り方を許している辺りはさすがにフランス映画は「大人」だわ。
先取的だったアジア系のヒロインの起用やジュールズの住居のポップセンスやゴロディッシュのダンディぶりなど素敵な要素がてんこ盛り。
個人的には海辺の灯台へ向かうシーンやシンシアとジュールズが夜明けのパリを彷徨うシーンの幻想的かつ抒情的なセンチメンタルな雰囲気に酔いしれました。
私の中ではアメリカ映画的要素をうまく生かした非アメリカ映画の最初の成功作といったところ。
とにかく素敵な作品です。
是非ご一覧あれ。