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5つ星のうち 5.0
稀なるひとの豊かな人生,
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レビュー対象商品: ディートリッヒ自伝 (単行本)
かの大女優マレーネ・ディートリッヒの自伝です。ディートリッヒは、この本の前にも自伝を書いているようです。で、多くの人が彼女の伝記を書いたそうですが、そこに嘘やでたらめが多く書かれていて我慢できなくなり、伝説の女優と言われている自分が本当のところを自ら書き表そう、という目的で、この2冊目の自伝を書いたそうです。 第1次大戦前後の幼少時代から書き始めています。文章も、そこに出てくる当時の少女マレーネも、とても想像力豊かで文学的感性を備えた頭のいい魅力ある女性です。 ヨーロッパ女性の気概、というものがあると思うのですが、彼女のお母さんも彼女を厳しくしつけています。避けられないことは、毅然として耐えろ!というのが、その行動規範なのです!だから、背筋が一本ビシッと通っています。勤勉で努力を惜しまない大人の女性です。 そして、スタンバーグから始まって、数々の天才、すばらしい人物たちたちに出会います。スタンバーグの映画作家としての天才ぶりはすばらしいです。彼女がただの女優でなく、映画作りの技術的なことやすばらしい映像の価値を理解する人だったからこそ、その文章でどんなにスタンバーグが才能にあふれていたか、を伝えてくれています。 ジャン・ギャバン、レマルク、ヘミングウェイ、ノエル・カワード、ナットキング・コール・・・ほかにもたくさん、彼女はあらゆる人の才能をどんなに素晴らしいか理解する感性の豊かさを備えていたので、たくさんの人との交流があります。尊敬、憧れ・・・そして恋もあったでしょう。しかし、夫との友情もずーっと続いていたようです。 ヒットラーとナチズムに反抗し、アメリカ市民となり、ドイツ人ながら、アメリカ兵となり、慰問をしにヨーロッパ最前線へ向かいます。じっとしているなんて、我慢できなかったようです。 彼女は、戦前は、ドイツの若い女性の多くがそうであったように政治に関心を持たず、ナチスがどのようなことを行っていたかも知らなかったらしいです。また、戦争に行ったアメリカ兵と、アメリカ本国で戦争と関係なく暮らしていたアメリカ人たちとのギャップ・・・負傷兵や手や足を亡くした兵士がアメリカに帰国しても仕事はなく、アメリカではお金がない人は、ゴミ同然、だそうです!そのようなひどい思いがあった、ということなど、戦争前後のドイツとアメリカで生きた稀有な人物であるがゆえに、伝えてくれています。 また、後年は歌手となり、バカラックの才能に支えられて、世界中をツアーしたのです。 彼女の稀なる感性、そしてヨーロッパ女性としての毅然たる精神、また、お母さんにしつけられた、努力・勤勉の、働き者の出し惜しみしない頑張り屋さんなところ、そして、彼女の生きた時代、戦前の、優雅さ、エレガントをもって美とする、美的価値観・・・それらが、今の電子のスピードの時代には失われている、神秘的人間的美、とはどんなものであるか、を考え感じさせてくれる自伝であると思います。
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