ディズニー関連のビジネス書は数多く出ているが、この本は独特な構成だ。
4つのエピソードがつながる物語仕立てになっており、とても読みやすく一気に引き込まれる。
物語の根底に響くのが、ウォルト・ディズニーがもっとも信頼を寄せたカストーディアル(清掃部隊)の初代マネジャーであるチャック・ボヤージン、通称「そうじの神様」の教え。
「ダメだと思っても、信じる心を共有することで、限界を越せる時がある」
「そうじは、パレードやアトラクションを演出するための舞台作り」
「自分自身が夢を持っていないと、人に夢を与えることはできない」
「子どもがポップコーンを落としても、拾って食べられるくらいキレイにすること」
以上の言葉を中心に、神様から直に教えを受けたスーパーバイザー金田と、その下で働くスタッフ、そしてゲスト(お客さま)の視点が交差しながら話が展開される。
リーダーである金田からはシンプルかつ重要なマネジメント、その下で働くスタッフからは毎日の仕事への取り組み方、そしてゲスト(お客さま)からは自分の仕事が相手(顧客)からどう見られているかなど、いつの間にか自分を投影しながら、それぞれの立場に立って興味深くページを進めることができた。
読後に浮かんだフレーズが、スティーブ・ジョブズがスタンフォード大学卒業祝賀で行った演説、
「明日死ぬとしたら、あなたは明日今の仕事をしますか」という問いかけ。
これに対し、この本の登場人物たちはひとつの答えを持っているに違いない。
それは、「そういう気持ちでいつも仕事をしている」ということ。
今の状況を変えたいが、自分は何もできないし、何より飛び出すことができない……。
そんな閉塞感にとらわれがちな人に対しては、毎日の仕事を無駄にせず1歩ずつ進むことの大切さを教えてくれるだろう。
改めて自分の「今」を見つめ直すきっかけを与えてくれる1冊である。