本書は、アメリカのディズニーランドが、いかにウォルト・ディズニーの夢や心象風景をもとに形づくられたかを記述した本です。
私は、この本を「(現代の)東京ディズニーランドの運営ノウハウの秘密」と勝手に思い込んで読み始めたのですが、本書にはそういうことは少しも書かれていません。古い開拓時代から始まるディズニーの家族の物語やウォルト・ディズニーによるアメリカのディズニーランド開設にまつわる物語に、私は、当初とまどいました。
しかし、読み進めるにつれ、当初のディズニーランドは、私が思っていたものとはかなり性格が異なることを知り、とても興味深く読ませていただきました。
私たち日本人にとって東京ディズニーランドは、日常生活と離れた「どこにもない夢と魔法の王国」であり、「ファンタスティックや幸せや異国情緒の象徴」であるのに対して、ウォルトの意図した当初のディズニーランドは、「古き時代のアメリカや自らの過去を再体験するための施設」という性格が濃いというのは、ほんとうに驚きでした。
そして、ウォルトの死後、その性質が変わっていき、ビッグサンダー・マウンテンやスペース・マウンテンを創っていった経緯もとても興味深いものでした。
また、ディズニーランドの一部である「トゥモローランド」については、現実社会の変化にあわせてどんどん進化していったことや、原子力潜水艦の展示は海軍がスポンサーであったことなど、ディズニーランドと現実社会が深く結びついていたことも驚きでした。
開拓時代のアメリカの記憶、ウォルトの夢、そして現代のディズニーランドへ変貌していった経緯をたどることで、どこかノスタルジックな感慨が沸いてくる、なかなかの著作です。
読みやすく整理して書かれた本ですらすら読めますし、興味深く、惹きこまれる本です。お勧めします。