本書はもともと同著者が洋書で出版していたものを自分で翻訳したという変り種であり、洋書のディテールを持った和書となっており、洋書の値段を考えれば値段はそれほど高いものではない。
私(通信分野LSIエンジニア)がこの分野の書籍から得たい情報は次のものである。
1. 規格書(PDC・PHS・IMT2000)には書かれていない受信側システムをどのように実現するか、実現したか。
2. 通信システムの信号処理を連続系ではなく、離散系のシステムとしてどのように実現すべきか
3. 一般化された数式のみならず具体例が示され直感的に理解できるか
4. つぶしの効くようなバックグラウンドまで説明してあるか
について、本書は満足するレベルにあり、周りに優れた通信エンジニアがいない人には実務レベルで頼りになる一冊であると思う。
特に等化器やインタポレータに関する記述は、和書の類書には見られない部分であり、必読である。ただし、OFDMでは当てはまらない内容も多いのでその分野を期待している人は他書で補完する必要がある。
数式の導出過程があっさりしすぎている部分もかなりあり、いきなり本書を見ても本質的な理解は難しいかもしれない。
いろんな本を見て、今一つ理解が深まらない、壁にぶち当たっている人にはには以外なほど本書は役に立つだろう。