「ピアノ」が歌や物語を聴かせる曲だとすると、「ディグゼロ」は音と言葉をぶつけるような曲だ。所謂シングルっぽい作品ではないが、アルバムの世界観の断片が見えるような先行シングルに相応しいナンバーである。
とにかく楽器の音が冴えている。余韻を噛み締められるソリッドな演奏。憂いのあるギターフレーズ、底辺を支えるベースライン、全体を引き締めるドラム。どのパートも際立っているし、それが絶妙のバランスで重なり合いひとつの楽曲を形成しているのが感じられる。曲だけで充分かっこいい。
加えて歌も特徴的で「stupid」のようなトーキングスタイル。それも初期の挑戦意識や模索している感じではなく、自然に辿り着いた境地だと思えるフラットな印象。少なくとも挑発するように叫んでいる様子ではない。冷静にラリっている。
思えば、The Birthdayのバンドとしての成熟は2nd「TEARDROP」で既に迎えていたと思う。具体的にいえば「プレスファクトリー」「KAMINARI TODAY」「ALRIGHT」の3曲の存在が大きい。そこから先は音楽との対峙。そうして純粋な衝動取り戻したThe Birthdayは、音楽どころか世界の真理や物事の本質へと向かった。
そんな今作の詞のテーマは、限界を越えたゼロの先。これはもはや哲学に匹敵するのではないか。そんな風に思えるほど、味わい深い名曲。
ちなみにジャケットもかなり好きだ。かっこよすぎんだろ。