20 人中、17人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
いつかは消える心の傷。, 2003/4/21
レビュー対象商品: ディア・ハンター [DVD] (DVD)
この物語の戦争の悲惨さが伝わってくるのは、戦闘シーンを観たからではない。その前半の故郷での平和な毎日。仲間との酒盛り、友達の結婚式、タイトル通り鹿狩等々、それらを無残に引き裂くその絶望さに悲惨さを感じる。当時ベトナム戦争はあらゆる面でアメリカに不利に働き、戦い傷ついた兵士が帰国しても英雄として扱われない悲しさがあった。
この作品は物語の前半の穏やかな毎日と若々しく力あふれる若者達の生き様が生かされているからこそ、後半の叩きつけられるような戦闘へと流れてゆく。そこには加害者とか被害者とかは存在せず、ただ生き残る為に戦うところまで追い込まれた一人の人間があり、生き残った者はその心の傷がいつか癒されるときを待っているのだ。
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5つ星のうち 5.0
中年男の独り言, 2008/11/7
レビュー対象商品: ディア・ハンター [DVD] (DVD)
この映画に特に深い思い入れはないが、「名作」だとは言っておきたい。
レビューをつらつら読んでいて、非常に偏った見解をもっている人たちがいることに驚きを禁じ得ない。そこでささやかな反論をさせていただこうと思った。
冒頭の製鉄所のシーン。私には溶鉱炉に流れる鉄が、大量の血液のように見えた。血液が飛び散り、固まり冷やされ、鉄になっていく。そしてそれは武器になっていくのだというメッセージが、あのシーンに込められている気がする。
物語が進むにつれ、登場する若者達はロシア系だということがわかってくる。巨大なアメリカに住むロシア系移民の若者達が武器を作っていたということだ。
戦地に赴く前夜、彼らは大きなシカを狩るために山にゆく。シカはなんの比喩なのだ?
ヴェトナムの人々があの戦争でいかに悲惨な目にあったのか、知らない日本人は少なくないだろう。枯葉剤の影響がどれほど恐ろしいかを知らない人も。
この映画はあくまでもヴェトナム側ではなく、アメリカ側から見たヴェトナム戦争の検証映画であり、反戦映画なのだ。双方を描ききる必要などあるもんか。くだらないことを言う人たちがいるもんだ。呆れてモノが言えない。
家族や愛する人を失った悲しみは、戦争のみならずあらゆる事象にあり、あらゆる国に存在する。アメリカ人という「多民族国家」にも、少数民族にも...。
ラストで歌われるアメリカ国歌は、多民族国家の象徴として歌われているのだ。彼らにはアメリカしか住むところがない、ということだ。今の日本だってそうだ。
映画の内容を額面通りに受け止めて、物語に秘められているニュアンスや伏線を嗅ぎ取れないのでは、映画の面白さ、楽しさを半減させていると言わざるをえないだろう。
自戒も込めて。
35 人中、28人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
ロシア系移民なのを判って欲しい, 2004/8/17
レビュー対象商品: ディア・ハンター [DVD] (DVD)
この映画に批判的な人が結構居るのに驚く。「あまりの残酷描写が見るに耐えない」というのならともかく「アメリカの独善的視点」を批判するのが多いのは残念。主人公達がロシア系移民であるのは最初の結婚式、彼らの名前から米国人には自明なのだが、日本ではその点を理解しないで見てしまった人が多く、第一印象から嫌悪感を抱かれたのは大きな不幸だ。監督の書きたかったのは「アメリカ」という理想に対する愛憎綯い交ぜた感情であり、主人公達がロシア系だからこそ悲哀が一層際立つ。ラストシーンの「ディア・アメリカ」の合唱に込められた想いを感じて欲しい。