アフロ時代から鶴瓶を知る「ぬかる民」としては、この作品での彼の演技が高い評価を受けていることも非常に嬉しい。タモリなどから指摘される「笑顔でも目は笑っていない」という彼の表情が、この役には特にはまっていた。また、瑛太についてはこれまであまり意識したことはなかったが、今回の素直な役柄には好感が持てた。彼が演ずる相馬啓介がニセ医者伊野治を間接的に映し出す鏡のような役割を果たし、鶴瓶が前面に出ることなく、うまく全体のバランスがとれていたように思う。
失踪した伊野がニセ医者であることはある程度物語が進むと見えてくるので、どのようなドラマと絡めて彼を失踪させるのかが監督の腕の見せ所だったが、鳥飼かづ子(八千草薫)の病気を物語の柱にすることでうまくまとまった。
脇役では何といっても香川照之。存在感がありながら決して目障りにはならず、場面を締めている。話は逸れるが、「龍馬伝」がヒットするとすれば香川照之の功績は大きいはず。また、伊野が突然姿を消し、何とも宙ぶらりんの状態で放り出されるのかと思いきや、ラストに見せた八千草薫の微笑がこの作品を見事に完結させた。他にも余貴美子、笹野高史ら芸達者を揃え、安定感のある作品になった。