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35 人中、33人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
宇宙論的なオデッセイ,
By mehori (神奈川県) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: ディアスポラ (ハヤカワ文庫 SF) (文庫)
肉体を捨て、自らの精神をソフトウェア化した人類が、銀河系スケールで迫る危機に瀕して宇宙に進出する<ディアスポラ>計画を発動させるというハードSF。数学・物理学的な広範な知識で理論武装された文体は、たしかに万人向けではないと多くの場所で書かれるのも無理はないでしょう。 作中に登場する物理理論が精緻化・厳密化してゆく過程は、<ディアスポラ>の驚異的な旅の射程と一対一の写像となっていて、そこにとどまることを、つまりはページをめくることを止めさえしなければ、読み進めるほどに宇宙の真の姿が語られてゆくのは、そもそもSFにだけ与えられた特権的な喜びといっていいはず。ワームホール、多次元宇宙、多宇宙解釈、超弦理論、といった最新の宇宙理論を追いかけるのが好きな人には、目に映るべくもない世界をこうして垣間見せてくれるイーガンの想像力に酔いしれることができるはずです。 もっとドラマチックな展開が好きな読者にとっては、直接的に訴えるドラマが少ない作品ではありますが、<ディアスポラ>から脱落していった登場人物たちが、なぜそこで留まろうとしたのかを想像することもまた、宇宙と、それに対峙した人類の姿を感傷抜きで描き出してくれていて、興味が絶えません。
17 人中、16人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
私は文系人間ですが...,
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レビュー対象商品: ディアスポラ (ハヤカワ文庫 SF) (文庫)
「序盤が大変」とのことですが、そういう方にはとにかく「科学的な解説は読み飛ばせ」と申し上げておきます。と書くと、本書を通じて数学への愛を語っている著者には失礼にあたるのですが、本書の主要な登場人物はすべて「知性も意識もある電子情報」としてのみ存在していること、「ポリス」と言っても実際にはコンピュータそのものであること、の2点だけ承知して読み出せばよろしいのではないでしょうか。このように通常の実体を持たない不老不死の主人公たちではありますが、「架橋者オーランド」の決心、トランスミューター(神?)を追って高次元宇宙にたどり着いた主要登場人物二人が最後に選択した行動に涙できるようなったら、イーガンのファンとしては十分ではないでしょうか。少なくとも私はこの本を読んだことで、イーガンの他の著作も読もうと決意いたしました。
6 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
「私とは何か」に対するひとつの答え,
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レビュー対象商品: ディアスポラ (ハヤカワ文庫 SF) (文庫)
訳者に敬礼! これだけの作品をこんなに読みやすく日本語に移植してくださって本当にありがとうございます。イーガンの『祈りの海』でも思いましたが適任だったと思います。数字に、というか数学に最高の美を見出している著者渾身の大傑作です。筋を追うごとにどきどきはらはら、いったん読み始めたら読了まではひと呼吸。ものすごい勢いで読み終えてしまいました。 スワヒリ語で「孤児」を意味するヤチマを中心に魅力的な人物たちが数千年の単位でいれかわりたちかわり意識をめぐる冒険をします。 イノシロウのあまりにも意外な選択や、ブランカのかっこよすぎる決めセリフなど魅力満載。 イーガンがおそらくは生涯のテーマとしている「意識とは」「私を意識する私とは何者なのか」のひとつの答えがここにあります。 読むことで、自分を制限する何もかもを振り切って、限りなく自由にさせてくれる爽快感を、イーガンは与えてくれます。 孤独も孤立も、苦悩も苦痛も、「それでも」先に進もうという「意志」までは奪うことができなかった。機械の中の幽霊ならぬ、機械の中の人生を、私はとても愛します。 詩情あふれる素晴らしい傑作だと思います。イーガン、大好き!
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