タカラヅカの沖縄モノをハリウッド映画にしたようなエンタメ歴史小説で、
とにかく面白いジェットコースター・ストーリーだ、と友達が言うので、
えー沖縄も歴史物も興味ないしな〜、と思いながら手に取った本書。
結論から申せば、面白うございました。
でもこれは、エンタメの皮をかぶった現代社会(文明)批判なんだなと、私は読みました。
琉球を我が物にしようとする列強の間を、美意識と教養を武器にして、
外交の力だけでかいくぐり、琉球王朝を守ろうとする寧温。
小国ゆえに矜持と知恵をもって大国にあたらねばならぬのは、
現代日本とて同じでしょう。
これを読んでハッとする政治家や役人の一人や二人、いなきゃおしまいですよね〜。
私は胸が熱くなりました。
日本に併合されて琉球王朝が滅ぶそのとき、真鶴は日本人の想い人に、
琉球という国は滅ぶけれど、美しく気高かったこの国を愛し続けてほしいと願い
恋人はそれを約束します。
日本人の青年が真鶴と交わした誓いの美しさと、
その後の沖縄のたどった悲運が、実に対照的ではありませんか。
先の戦争で沖縄は甚大な被害をこうむり、首里城は灰となりました。
その後も今日まで、基地の島・沖縄は日本国の捨石のようではありませんか。
寧温はこうした小国の末路を案じていたのですよね。
なんて書いていますが、私は別に何かのイデオロギーを持つ者ではありません。
むしろ歴史に疎いノンポリ(死語?)。
そんな私ですら、読み進むうちに琉球王朝とその歴史について知りたくなり、
なんかケバイわ〜と思っていた琉球の文物に惹かれ始める。
そういう力が、本書にはあります。
リアリティに乏しいとか、表現が軽いとか、皆さんがレビューに書かれている
ことは、もっともだと思います。
でもね、たぶんそれはワザとだな。
内容にふさわしい重厚な文体の、ち密な歴史小説であったとしたら、
本書を手に取る人はこれほど多くはなかったでしょう。
作者は、エンタメの姿を借りて、
より多くの日本人にこう問いかけたかったのではないでしょうか。
日本の国家は美しいのか。
日本人に美意識はあるのか。
日本人は、あの誓いを忘れたのか と。
ホントは重い問いかけを、ライトに読ませる。
そういうコンセプトの本だな、コレは。
と思ったんだけど、深読みかなぁ〜。