寒い雪の日、僕はたまたま図書館で手に入れたこの本を、特に美味しくもないラーメンを食べながら読んでいた。でも、いつのまにか体のまん中のほうから熱くなるような気持ちが湧いて、どうしようもなくなって、ひとまず本を閉じた。自らの思考を持たない右翼青年が、大人に利用され、左翼政治家を刺し殺した。世間の誰もがそう思った事件。沢木耕太郎はその思い込みを越え、少年が自らの人生をかけて行なったテロルと一人の政治家が走りつづけてきた人生が交錯するその一瞬を描き出した。机の前で本を読んでる僕には人生の激しさ、そしてそれが燃える瞬間の美しさなど想像もしたことがなかった。ただ僕は、年齢に関係なく、いや自分と全くの同年代の少年が、自ら信じ、行動することができたことに、衝撃を受!!けた。そして60年代が発するあのにおい。右翼や左翼や、政治家も。自らの信じる道で世界は変わると信じていた。現実の事件があまりにドラマティックに感じてしまうのもきっと、沢木耕太郎が誇張したのでもなく、むしろ彼の清潔な描写が現代とあの時代とのギャップを際立たせるのだろう。2人の人物と、そして作者、沢木耕太郎の瞬間までがぶつかり合い、時に重なることによって、エネルギーのある文章が生まれた。この本はいつでも僕の心の奥のほうを熱くする。