著者は防衛大学を卒業後、陸上自衛隊で調査学校教官を務めた経験があるそうです。この本が書かれたきっかけは、今回のテロ事件ではなく、旧くはフィリピンの三井物産事件、最近では在ペルー日本大使公邸占拠事件などといった日本人を狙ったテロ事件が生じたことから、テロに対する認識の乏しい日本人へ向けて、テロとは何か、ということを伝えることにあったようです、著者は自衛隊在職中、テロが頻発するスリランカの日本大使館で勤務したこともあるのですが、その経験も今回の著書の中で生きているように思いました。著者によると、一言で言うと、テロリストは、自分の信念や存在意義が脅かされるときに、Believer(確信者)が権力者を追い払う、あるいは政策をやめさせるためにとる方法だといえるでしょう。テロへの対応は、こうした圧力に屈しない、という点がポイントとなります。テロリストは人の恐怖をあおって目的を達成しようとするばかりでなく、反戦や人道的立場に基づく政府批判でさえも、利用しているのですから、人の善意につけいる極めて性質の悪いものであるといえるでしょう。今回のテロ事件も含め、入り組んだテロの手口に惑わされず、脅えず、屈しないという対応を迫れるという意味で、私達も難しい立場におかれているといえるのではないでしょうか? テロについて考えさせられる一冊です。