日本の国際競争力といわれているアニメ・マンガ・ゲーム・TVドラマ・芸能といったコンテンツが未だに過去の因習に囚われている問題点をわかりやすく解説している。その因習とはTV局、問屋流通・通信会社といったインフラ産業の基盤設備維持のためにコンテンツが縛り付けられているという産業構造の問題点である。筆者は経済産業省官僚として、日本国内のメディア・コンテンツ業界を横断的、縦断的に見てきた上で、世界で起こっている、インターネットで起こっている、ネットの仮想空間で起こっている新たな経済システムの進化に対して、日本のメディア・コンテンツ産業がいかに対応し、事業者の富(と国富)を増やしていくべきか?問題点の克服、そのために成すべき産業進化と業界協調・共生の道筋を提示している。
歴史は繰り返すという視点から、映画産業とテレビ産業の競争から協調・共生へ変化した歴史を紐解き、さらに角川メディアミックス戦略(出版とTVと広告と芸能)をケーススタディにする点に筆者の明察を感じた。
また、ニコニコ動画、キャラクター商品、CGM、フラッシュ職人等への言及が数多くあり。筆者のコンテンツ産業を捉えるフレームの大きさに感服した。
だが、娯楽産業であるがゆえ、産業政策としては後回しにされるという筆者の指摘は今後のコンテンツ産業政策に暗い影を感じ、筆者が期待している総務省「通信・放送の総合的な法体系」についても、無用な政治介入があるのではないかと心配してしまう。
次のハレー彗星がくるときも、日本のメディア・コンテンツ産業が存在し、進化したテレビがお茶の間に有りますように!と願い、テレビ世代だった私は、筆者の今後の活躍に期待している。