アニメ随伴作品は今回が初めて、というのが意外、と思えてしまうぐらい音像の整った「うつくしいおと」が印象的な、蓮実重臣氏が手掛けたささめきことのサントラ集
”一度はやってみたかった音楽表現”として盛り込まれた粒よりのサウンドは、元々得意と思われていたポップなエレクトロテイストはなりを潜め、生の楽器の持つ響きを重視した楽曲は、凪の水面に広がる波紋の如き静謐なふくよかさを持っており、心穏やかなひと時を演出します。特に、ピアノの響きとディレイを採りいれた楽曲が面白く、エフェクトとして掛けられたハーモニクスが独特のリズムを形成しており、この辺りに氏のフィールドであるエレクトロニクスのアイディアの豊かさを感じます。音数が少ない分、両立の難しい電子音と生音の重ね方が巧いのも頷けます
作品の色もあってかコミカルな楽曲も多いのですが、一瞬フッと転調して哀愁を帯びる個所があったりと、能天気な明るさのなかに時折見え隠れする陰影を表現しているようで感心させられます。主要キャラクターの多くは、内に秘めた想いを持て余したり、その想いに潰されそうになったり、舞い上がり、失意に堕ちる、そんな多感で危ういバランスにある心の機微を窺い知る手助けとして実に優れた舞台装置だと言えます
しかしながら、個人的に最も収穫だったのが、表題にもある5曲目の.J・O・S・H・I・B・Uで、瑞々しい女性コーラスに乗せ「ジェイオーエスエイチアイビユー」「じょしぶ」という、自然と覚えてしまうシンプルな語感のみで構成された楽曲には反復力と中毒性があり、尚且つ懐かしい昭和の小学唱歌を彷彿とさせる歯切れのよい朗らかなリズムは、聴いていてとても清々しく晴れやかな気持ちにさせてくれます。曲の終りのコーラスの笑い声と「シーッ」という演出も実に素晴らしい。一般の音楽コンクールに使用されてもおかしくない出来だと思います。朝、この曲を聴いて元気を分けてもらっています