本書の内容を端的にまとめると、テレビと宗教の関係の変遷、ということになるだろうか。
テレビ放送の開始から、宗教に関わる番組。その取り組みなどを描いたものから、現在のバラエティ番組に組み込まれるようになる状態への変遷。ラジオ放送やアメリカとの比較や、各局の放送基準と現状の間の乖離、その(苦しい)言い訳などが丁寧に綴られている。
個人的には、特に「宗教」に関する番組の変遷などは興味深く読めたし、また、放送基準との乖離に対する放送局の言い訳には苦笑した(細木数子氏の出演について、「彼女は人生相談の相談員だと考えている」などというのは、流石に苦笑するしかあるまい) そういう点では、非常に勉強になった。
ただ、いくつか疑問点は残った。
まず1点目が、「宗教」の定義。「日本人の宗教心が薄れた」などということを言うのだが、ここで言う「宗教心」とは何かが曖昧で、ちょっと気になった。
2点目に、著者の言う前提に対する疑問。著者は、テレビの影響力は大きい、という前提で本書を綴っているのだが、著者自身が認めるようにその効果についてはよくわかっていない部分が多い。そこが崩れてしまうと、やや説得力に欠けるように感じる。
3点目として、その「宗教心の低下」を社会問題などに当てはめるのは強引、乱暴である点。本論とは言えないかも知れないが、序文から「いじめの深刻化」「教師の現場放棄」「モンスター化する親」「キレる老人」…などが並ぶが、これらは、前提から怪しかったりするし、また、その部分だけに原因を求めるのは乱暴である。そういう言説がしばしば見られるのは気になるところ。
本論に当たる部分は興味深かっただけに、より、いくつかの部分が気になった。