本書は、1990年代を通して著者によって書き継がれた未来予測をまとめたものである。ここで掲げられたテレコズムのビジョンは、前著『未来の覇者』で展開された「マイクロコズム」論をさらに一歩進めたものとなっている。コンピュータを主役にした物的資本から知的資本への移行がマイクロコズムとしたら、その主役だったコンピュータがコミュニケーション(通信)に、コンピュータの処理能力が「帯域」に取って代わるとするのがテレコズムだと読み取れるだろう。
「帯域」の技術論については、とくに本書の半分近くが割かれている。CDMA型の広帯域低出力方式から、次世代のマイクロ波、光ファイバー、また自律分散協調型の全光ネットワークなどを軸に、通信の無限の帯域と高速化をもたらす技術の方向が示されている。ネットワーク・アーキテクチャ、またブロードバンドのベンダーの観点からも示唆に富む内容になっている。
では、そのテレコズムにより未来はどう変わるのか。著者は、テレビは役割を終え、広告は変質するといった身近な例をあげて説明する。結局、「人間の寿命」という制約をなくしていく方向に、生活、経済、ビジネスの進路を見出していくのだ。時代の潮流を大局的に示し、その先端をいく企業にスポットを当てる著者の視点は非常に鋭い。著者のひとことで株価が動く、といわれているのも納得できる。現在のIT産業の落ち込みや世界的な経済の停滞は、著者の「勢い」をそぐものではあるが、ブロードバンドの時代を読み解くために必読の書であることは間違いない。(棚上 勉)
ここだけ抜き書きすると何のことだかわからないが,ニュートンの時代から現在に至るネットワークの発展史に関する詳細な記述に基づく考察は,それなりに説得力がある。
データ通信に関するさまざまなエピソードが詰め込まれており歴史書としても興味深い。なかでも光通信の黎明期における研究者たちの奮闘ぶりは読み応えがある。
(日経コンピュータ 2002/01/28 Copyright©2001 日経BP企画..All rights reserved.)
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