69年製のテレキャスターを持っている。
ボディにヒドいキズもついているが、音がよかったので、購入した。
私にとっての本書の価値は、スペック変遷が著しく、年代特定の難しい60年代のフェンダーの加工方法およびパーツの時系列分析にある。
もちろん、50年代や、70年代以降にも触れられている。
ネジ1本の形状に至るまでの徹底したテレキャスターのスペック分析、しかも写真入りは、今までなかったと思う。
現在のヴィンテージギター市場では、フルオリ信仰がエスカレート気味で、フレット交換ですら、価値が下がると言う人もいる。
以前は楽器店で高価なヴィンテージも気軽に試奏できたが、今では商談以外では触ることもできない店が多い。
つまり、買うことを前提に、状態を最後にチェックするのが試奏というわけだ。
音の楽しみというより、骨董としての扱いになっている。
かかる状況を踏まえると、これからヴィンテージギターを値踏みしようとする人、あるいは商売として扱う人にとって、スペックの知識を事前に仕込んでおくことは今まで以上に重要だろう。
精巧な贋作をつかさまれないためにも。
製造業の関係者として言わせてもらえば、フェンダーは、時期に応じて最適な素材調達や加工方法を採用しているだけのように見える。
そこには、「ギターは大量生産の工業製品である」というフェンダーの一貫したスタンスを感じる。
まあ、ギターの大量生産といっても、自動車などと比べれば、知れた数ではあり、手作りのぬくもりも残っているのが、おもしろいところだ。
この手の特集本にありがちな、誰がこのモデルを使ったとか、音づくり指南などの、余計な武勇伝は一切なし。
徹頭徹尾、製品としてのテレキャスターの解説。
ここまでポイントの明確な楽器解説書も珍しいだろう。