黒い異人フルクースの侵略に遭い地球からの一時脱出を図る〈テラ・パトロール〉の活躍と或る銀河帝国の滅亡に端を発する「テルムの女帝の歴史」を描く大長編SFスペース・オペラ宇宙英雄ローダン・シリーズ第400巻。本国ドイツでの通算800巻目を飾る執筆者は最古参の重鎮マールとフォルツです。ここまでの作者別登場回数順位はフォルツ157、ダールトン151、エーヴェルス129、マール113、クナイフェル74、シェール51、フランシス39、ブラント38、ヴルチェク37、ショルス4、シェパード3、テリド2、パットン1、シドウ1となります。遂に日本語版シリーズが記念すべき400巻に到達し、全作読破の熱狂的な愛読者としては誠に感慨深い物があります。しかし本国版に比べればまだ1/3以下の段階で、現在の翻訳ペースだと私が生きている内に追いつくのはとても不可能ですが、せめて第1000巻(2036年5月刊行予定)までは読めたら良いなと考えています。
『テラとの別離』クルト・マール著:アラスカら〈テラ・パトロール〉の面々は黒い異人フルクースと小陛下のインパルスに苦しみ地球からの一時脱出を決意する。本編の悲しい題名程にはテラナーは挫けておらず、3組のカップルの結婚がめでたく決まったり、小型艦に酔いどれ仲間の故ボールドウィン・ティングマーの名前を冠したり、392巻「炎の飛行士」のエピソードが幸運な決着を迎えたりと、まだまだみんな元気で逆襲に向けて意気盛んです。『テルムの女帝』ウィリアム・フォルツ著: ローダン一行がテルムの女帝のポジションへ向かう途上の「人類」の章と平行してソベル人の巨大計算機ティオトロニスに支えられた文明の終焉のドラマからテルムの女帝誕生と現状に繋がる壮大な「テルムの女帝の歴史」の章が語られる。本編ではソベル人の名もなき人々の苦闘のドラマが胸に迫り、複雑な性格の超越知性体テルムの女帝にはテラナーも相当に苦労させられそうな予感を感じます。小さなドラマながらも猫男ブジョの重要な発見とケロスカーの計算者ドブラクの決断は今後の展開にどう影響して行くのか?ますます興味が尽きず目が離せません。
本巻の翻訳者、嶋田洋一氏のあとがきは東京都民の憩いの場「六義園(りくぎえん)」を紹介され、東日本大震災の被災地復興への個人的な支援の取り組みを述べられています。いよいよ新サイクル「バルディオク」がスタートしましたが、過去の「公会議」「アフィリー」サイクルで積み残した課題がまだまだ山積していますので、今度こそ全ての問題に決着をつけてスカッとした気分にさせて欲しいと熱望します。