本書を読んで感じたのは、私自身の愚かさの他に、TVというバケモノの大罪であり、著者をも含むテレビマンの大罪。
大のテレビ好きで、数々のヒット番組を仕掛けた著者が綴った「テレビの習性=ニッポン人の習性」に気付かされて、私の「ばかぶり」を突きつけられた。
軽く面白く読める内容だけに、逆にその底にある怖ろしさについて深く考えたくなる。
いかにしてテレビが仕掛けた罠にはまらぬようにするかを、著者は逆説的に説いているように思えるが、読み手によっては「ばかにされている」「こけにされている」「ナメられている」と感じる人がいるかもしれない。
面白いと思ったのは、「テレビの習性」、事件の容疑者の逃亡劇を「一億総ヤマさん」(ドラマ「太陽にほえろ」の刑事)になって推理してしまう事や、なにがなんでも謝罪会見を行う必要性や、「スターを作る」の亀田問題、「視聴者はいつもS」「五輪の時だけ盛り上がる」など。
近年起きた事件やスキャンダルを実例としてあげているので、わかりやすいし共感を覚える部分もあった。
昔は近所の井戸端会議で「人の悪口」を言ってストレス解消していたものが、今ではTVを見てバッシングする時代で、視聴者が全員批評家になったこと、それもTVの罪だという。
「閑話休題」として、「スーザン・ボイルの作り方」「天国に旅立った偉大なテレビ人たち」「まさお君」など。
第5章の視聴者の「プロ野球離れは」は本当か?においての、ヒーロー・インタビューにおける質問の愚については、同感。
政治ネタについては、「3・11」より前に発刊された本だけに、ネタが古い。
著者やTV、テレビマンについて怒るよりも、一視聴者として、TV(特にワイドショーや娯楽番組)の仕組みを知ることによって、TVとの対峙方法を考えたし、自己責任も痛感した。
でも、生まれた時からすでにTVがあった世代だし、TVなしの生活は考えられない。
また、難しいことを考えずに見ないと、バラエティー番組やワイドショーは楽しめないから皮肉なもの。
本書は、毎日新聞夕刊に連載されていたコラムを、改題、再構成、大幅に加筆修正したとのこと。