小学校でいじめの標的となっていた主人公の少年は、家も貧しく閉塞的な生活を送っていた。ある日隣人として同級生となる少女が転校してきた。少女は足が速く、それまで1番だった少年の自尊心が傷つけられるが、その性格に次第に心を開き、ともに未知の世界である森に冒険に出かける。小説家の娘である少女と絵の才能を持つ少年の心がかみ合って、魔物の潜む森で基地や、冒険の基盤を創っていくが、事態は意外な展開をみせる。
本作品を子供向けのファンタジーと思ったら大間違いであり、少年時代の精神について映像を巧に利用することで表現し、あるべき子供の成長について言及した映画である。巧妙な脚本で、少年期に見られる自尊心やいじめ、失敗、裏切りなどが90分強の時間にふんだんに盛り込まれている。大木の揺れや突風など、少年にとっては魔物が原因であると思いたくなる精神状態をCGで表現しているだけである。それが冒険心や勇気の原動力となって成長していく点が重要なのだ。予告からファンタジー映画と思って子供と見にいった観客は期待を裏切られたかもしれない。重複になるが、これは大人が見る作品である。話の意外な展開とクライマックスは、非常に現実的な精神描写ともいえ、感動を誘うと同時に、展開とは裏腹に明るい希望を感じさせる終幕となる。
父親役は、ターミネーター2で敵役であったロバート・パトリックがいい演技をしており、他のキャストも非常にいいバランスである。一話完結の作品として完成度は高く、続編は必要ない。時間つぶしで見にいったつもりが、いい意味で予想を裏切られた。欠点の見あたらない不思議な作品で、星5つの評価。