太陽系帝国の重要拠点に迫る痴呆化危機が招く災厄に敢然と立ち向かうテラナーの活躍を描く大長編SFスペース・オペラ宇宙英雄ローダン・シリーズ第257巻。本巻の執筆者は、新たな旋風を呼ぶ新人ヴルチェクと今や中堅の域に達したエーヴェルスです。銀河に蔓延する痴呆化の影響は人類の宇宙での重要拠点にも思いも寄らぬ災厄をもたらそうとしていた。
『痴呆化した人々の広場』エルンスト・ヴルチェク著:悪魔の如き外見を持つ人類の協力者シェボパル人のシェFは、貨物船《ガトス・ベイ》でUSO司令本部キント=センターを目指していた。幾度も故障を克服し苦労の末に辿り着いた乗員を災厄が待ち構えていようとは誰も夢にも思わなかった。『テラの密使と宙族レディ』H.G.エーヴェルス著:痴呆化からの復興に努める惑星オリンプに凶報が届く。女宙族ティーパ・リオルダンにより、カルスアル同盟の大船団がオリンプに接近しているという思わぬ警告が発せられたのだ。やがてオリンプに百万人の飢えたエルトルス人が降り立ち、強硬に惑星を掠奪し始める。
前半に登場する敵役パラダイス探求者のタイ=フン提督は痴呆者を見捨てて免疫保有者のみで理想郷を築こうという強い信念を持つ危険な人物です。物語としては激戦の末ラストに遣る瀬ない悲しみが待ち受けていますが、それでも未来に向けて失敗から学んで立ち直ろうとする強い意志と希望が読み取れ、大きな感動が味わえます。本巻の翻訳者、天沼春樹氏のあとがきは三度目も旅のお話です。ドイツ、シュタイナウで行われた第一回日独グリム・シンポジウムのアトラクションとして当市の人形劇場、マーガズッペ・マリオネット劇場に参加者全員が招待されました。そこで見た人形劇の途中で強烈な睡魔に襲われ、日頃の展開の速い映画と違う、懐かしくも眠気を誘う語りのテンポに新鮮な驚きを感じられたとの事です。その他の面白いお話は本編を読んでお楽しみ下さいね。