『ブルータス』で連載されていたということもあり、
著者が格好つけずにわりかし正直に面白おかしく
卑しい男の欲望と哀愁をノッて書いている感じが伝わる。
その正直さが、村上龍作品の中では、かえって嫌味なく思え、
鼻持ちならぬスカした小説の多い中、抜群に光っている。
さすが文章にリズムがあるし読みやすいので
大人の男の軽い娯楽読みものとしては、いい線いってます。
「グラスのシャンペンみたいにキラキラと輝いていなければいけない、
他人に対してできることは、キラキラと輝いている自分を見せてやることだけなのだ」
「若い娘をギューッと抱きしめるよりも快感が大きいことがあって、
例えばウインブルドンの決勝でマッケンローがボルグを破って
歓喜のあまり体を折り曲げ両手を空に突き出すといったそんなことなんだ」
など、男の欲望を正直に描写してこそ見えてくる、
それらを超えた場所にある、成人男子にとって、
わりかし共感できる心地良い視座を提示してくれる。