プロフットボール選手とロサンゼルス社交界の令嬢。共に、かつては華のある世界にいながら、自らそれに背を向けた男と女が、太陽照りつけるメキシコで出会い、瞬く間に恋に落ちる。若き日のジェフ・ブリッジスが主演を張る、サスペンスとラブストーリーを交えた作品である。
「サスペンス」の側面から見た場合、80年代ということを割り引いても、プロット、演出ともにやや弱いか。物語が進行しても、なかなか胸踊る感覚が呼び起こされない。反面、「ラブストーリー」としては及第点。レイチェル・ウォードの日に焼けた肌が、深窓の令嬢とはいい意味で相反する、健康的でわがままなお嬢様像にぴったり合い、カリブの海と太陽のもとで見事に映えている。
特に秀逸なのが、ラスト。映画より有名なフィルコリンズの「Against All Odds (邦題:見つめてほしい)」をバックに、悲痛な笑顔で溢れる涙を抑えるウォードのショットはあまりに鮮烈。ここへ至るプロットの弱さも何のその、音楽と女優のパワーで、この作品を上の次元に引き上げている。この映画の価値はまさにラストワンシーンに集約されているといってよい。
また、「カリブの熱い夜」という邦題を付けた方のセンスには感服。昨今の原題そのままの流れに違和感覚える身として、こういったセンスある邦題に喝采を送りたい。