大気の動きの中で、1度の誤差もなく機体を操り、データが充分に収集できるまで同じ姿勢を保つ繊細さと維持する忍耐強さを、機の限界ギリギリの性能を試す際に(それは耐Gにおいてパイロットの限界を超えるギリギリでもある)、未知の領域に挑む好奇心と勇気を併せ持つテストパイロット。
彼らは通常のパイロットとして一人前と認められた後、更に10ヶ月の試験飛行操縦士過程を終え、そのスタートを迎え、通常F-15・2・4の戦闘機どれか1機種と、連絡用のT-4を乗りこなすのに対し、練習機のTー7、輸送機のC-1も含め、常に3〜4機種の性能を知り尽くし、部隊運用で必要とされる動作を全て正確に再現する技能を身につける。
本書は岐阜の飛行開発実験団と、藤曲3佐ことカービーの航空半生を描き、テストパイロットを紹介する。
他のレビュァーも書いているとおり、杉山隆男氏のシリーズのような詳しさと、現場の息づかいが聞こえるような作品とは言えず、マニアには物足りない出来という点は否めないが、日本のテストパイロットに特化した初めての本であり、操縦席などカラー写真も豊富という事で、ご祝儀的に減点は控えた。