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9 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
欠片の繋ぎ手たち,
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レビュー対象商品: テスタメントシュピーゲル 1 (角川スニーカー文庫) (文庫)
オイレンとスプライトが合流してシリーズ最終章に突入、とのことなのですが、視点的にはMPBサイドからの描写がほとんどなので、MSSサイドでどういう動きがあったのかが分からない。このため、最後の方になると特に、何でそんな展開になってんの!と叫びたくなる場面もあったりなかったりする。散り散りにされた断片の連なりだけで、全体像も把握できないまま事件に流されるという感覚を味わえるので、ある意味では良いのかもしれないが、このままMSS視点の本が出版されないとすると、何かしっくり来ない感じもする。 涼月、陽炎、夕霧、未来への出口を求めさまよいながらも、それぞれの過去へと続く扉に手をかける三人の少女。徐々に明らかになっていく事実は、周囲の情景を塗り替えていく。 少女たちのセリフも良いけれど、後半のおっちゃんたちのセリフの方が格好よく思える。これは送信側の変化なのか、受信側の問題なのか。
7 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
冲方丁、最後のライトノベル,
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レビュー対象商品: テスタメントシュピーゲル 1 (角川スニーカー文庫) (文庫)
衝撃の卒業宣言と共に世に送り出されたふたつの物語をひとつへと結実させる新シリーズ。圧巻のボリューム、脅威の密度の奔流が読者を襲い、いま、終結への道筋が描かれる。 さて、当初はそれぞれに最終巻を出す予定だったものをよりふさわしい終着点へと向かわせるべく合流させたという本作。 なるほど、その名残なのか、1巻はほぼオイレン5巻と言っても差し支えないほどにMPB主体の展開となっている。 三人の妖精もそれぞれ別個に少なからず出番がある程度に留まり、MSSに至っては組織だった関与や登場はほとんど見られないに等しい。 (現場には参加しているのだが、経緯や背景、活動の様子が描かれない) このことに対する評価は、どちらにより思い入れがあるかによっても変わってきそうだが、均等な配分による完全な合体・調和を期待していた人にとっては肩透かしだろう。 しかし、決してスプライトがないがしろにされているわけではない。 物語の核心に確かなる関与を示している。 とりわけ、今回鳳が見せた変容は特甲児童に秘められた重大な“何か”を紐解く上でも欠くことのできない問題であることが窺える。 はたして次巻はどちらを主体とした視点で展開されるのかも含め、関心は尽きない。 尚、ストーリーに関しては多分にネタバレを含めため多くは言及しない。 ただ、副長フランツが見せたこれまでにないほど彼女たちを気遣い、想う様子は冷血な人というイメージからの意外性もあって印象的だ。 そして何より、陽炎を取り巻く過去の因縁を解き明かす過程は見所である。 両親に関して涼月にも意外な救いがもたらされた点も見逃せない。 そして、圧倒的な文字量/情報量を有しながらマルドゥックシリーズの時のそれよりも格段に読みやすくなっているのが良い。 衝撃的なプロローグにはひとまずの安心を得られたが、目下、喫緊の問題が彼女らの前には立ち塞がっている。 次巻も大変待ち遠しい。
14 人中、11人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
ただ知りたかった/試したかった/選びたかった―仕方なくそうするんじゃなくて自分の意志でここにいるということ。,
By ニートあつし (住所不逞無色) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: テスタメントシュピーゲル 1 (角川スニーカー文庫) (文庫)
待ちに待った最終章突入。すごい。 戦う機械化少女、こんな手垢のつきまくった最も難しい王道の題材が、どうすればこんなに重厚でスリリングなドラマに仕上がってしまうのだろう。 「あー、なーんか世界とか救いてぇー……」シリーズの冒頭で煙草をくゆらせ、捨て切れない希望と諦めのはざまでそう呟いていた少女は、もはや後ろ向きの劣等感にうじうじ悩んだりはしない。 代わりに想い合う少年との絆を深めながら、拳を突き上げこう言うのだ。 「どうだ今なら世界だって救ってやる」 ……このセリフの重さは、描かれた「世界」の重さと深さですべて決まると思う。 そして読者の前に現出する「世界」のいわゆる「濃度」は、テクニックではなく、その「世界」に注ぎ込んだ作者の熱量と、残酷なほどに正比例する。 この「シュピーゲル」の世界は凄まじい。 膨大で複雑極まる設定、多彩な人物のそれぞれの葛藤、張られた夥しい伏線がここにきて奇跡のように鮮やかに回収されてゆく。後書きで作者自身が述べているように、複雑な設定のすべては単純極まりない真理を述べるためのもの。複眼の視点と平明な真実。 軸がまったくぶれていない。 だから膨大な設定も作者の蘊蓄ではなく登場人物の「所感」となり、抵抗なく読める。驚きなのは物語の展開上で許される「必要な」情報の蘊蓄さえほとんどなく、あれほど夥しい設定が人物の「感情」ないし「関心」として書ききられていること。 つまりは情報に「色」があるということです。つくづく見事だぁー。 息もつかずに読了した。次巻への引きもすごいため、早く続きを読みたくて仕方ない。 また一年半待たせるのだけはどうか平に許して下さい……。
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