本書の主人公ネット・オライリーはこれまでに離婚すること2回、今は国税局に追われるくたびれ果てたアル中の弁護士だ。その彼が、フェランの遺言書に指定されていた謎の相続人を探しに、ブラジルの奥地へと派遣される。パンタナール大湿原にあるという人里離れた部落をめざして旅立ったネットは、途中散々な目に遭いながらも、ようやく宣教師レイチェル・レーンを見つけ出す。純粋な心を持つ彼女は、そこで部落民と生活を共にし、「神のおつとめ」を果たしていた。しょぼくれた弁護士は、レイチェルの計り知れない献身と思いやりに心を打たれる。やがて、伝染病による高熱の苦しみから解放されたネットは、これまでの生き方を変えてみようという境地に達するのだった。
一方、アメリカでは訴訟手続がだらだらと長引いていた。その間、グリシャムは、フェラン・グループの末裔である金の亡者たちに楽しいひとときをプレゼントしている。このどうしようもない親族たちは、既婚のストリッパーたちとのおふざけや麻薬、それにマフィアとの付き合いに数百万ドルの金を使いまくる。末息子のランブルなどは、自ら率いるロック・バンド「デーモン・モンキーズ」の大成功を夢見る、全身ピアスとタトゥーだらけのごろつきだ。レイチェルの救いの手によって、ネットはまっとうな生活に戻れるのか?貪欲な相続人たちはそれぞれの分け前にありつけるのか?一生を賭けた仕事の真の遺産とはいったい何か?
『The Testament』(邦題『テスタメント』)は典型的なグリシャム作品である。落ちぶれ果てた弁護士、うなる金、刺激に満ちた法廷シーン、そして人生で最も大切なのに忘れてしまいがちなことを扱った作品だ。本書はただ気高い心を描いているだけではない。どう気高くあるべきか、という疑問への手がかりとなる作品である。 --このテキストは、 ハードカバー 版に関連付けられています。
登録情報
|
|
あなたの意見や感想を教えてください:
|
||||||||||||||||||||||
|
最も参考になったカスタマーレビュー
4 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
スリルとサスペンスでないところが気に入った,
By
レビュー対象商品: The Testament (マスマーケット)
スリルとサスペンスを求める読者にはきっと物足りないだろう。主人公は優秀な弁護士なんだけれど、自分の仕事に誇りを持てなくて、自分自身にも仕事にもうんざりしている。アルコールに溺れるより他、自分を慰める術を持たない。その彼が、アマゾンへ遺産相続人を捜しに出かける。そこで、彼には理解できな価値観と出会う。アマゾンに暮らす人々の価値観、そして、相続人であるレイチェルの宣教師としての価値観。私には、カトリックの価値観は受け入れ難い。しかし、主人公はそこに安らぎを見出したようだ。アメリカにもどって、神父と知り合い、その神父とのつきあいで今までの疲れを癒しているような主人公の描写がけっこう長い。これが気に入らない、という向きも多いかもしれないが、私はここがけっこう気に入っている。アマゾンではいろいろと辟易した主人公だが、アメリカにもどると、それら全てをなつかしんでいる。私はキリスト教の価値観は好きではないが、それをベースとするアメリカの、資本主義とは矛盾するもう一方の価値観を感じた。それで、主人公が癒されるのは、わかる気がする。私も少し、癒される気がした。
12 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
遺産と聖書の狭間をかいくぐるアル中弁護士の冒険行!,
By
レビュー対象商品: テスタメント (単行本)
"TESTAMENT"。英会話になどに通じていない一般的日本人がすぐにすんなりとわかる英単語だろうか? TOEIC400点そこそこのぼくなどには、少なくともすぐにすんなりと 飲み下せる英単語ではなかった。では、なぜその単語が特に日本語訳されずに<テスタメント>というカタカナ表記でタイトルになったのだろうか? そうした疑問を抱えながら本書に取り組む。しかし、その疑問は本書を読み進むと、非常にクリアに氷解することになる。ストーリーそのままのタイトルであるし、これを日本語訳せずに、複数の 意味を持たせたまま邦題としたセンスは、結果的に納得のゆくものである。 "TESTAMENT"とは「遺言」であり「聖書」の意でもある。骨肉の遺産争いを物語の主軸に添えながらも、遺書で名指された正当な遺産相続人は南米の奥地で布教生活にすべ てを捧げるあまりにもピュアな女性であった。まさにこの世の正邪を対決させたような構成で、遺産という経済的な価値と、あまりにも宗教的に浄化された精神性との狭間で 揺れるのが、南米パンタナール大湿原に送り込まれることになった、法律事務所のお荷物的存在であるアル中弁護士ネイト・オライリー。 まさにこの設定だけで引っ張ってゆくパワーを持っているのが、グリシャム。独自のテンポはそのままに、本書では、南米大湿地帯での冒険行の下りが、通常のリーガル・ サスペンスとは遠く離れた距離感をもたらしている。まるで、英国の本格冒険小説の香りに浸っているような懐かしさ。自然や天候とのストレートな闘いをグリシャムが書く なんてぼくは想像もしていなかった。そういう意味でも作家的熟成度の高い作品であるように思われる。 少なからず厚みを増した物語の振幅の巨大さに、まるで荒天下の荒波をくぐる水夫のように酩酊させられる。全米で『ハンニバル』を抜いたベストセラーだと言うのも肯け る。巨大湿原さながらに水圧の高い一冊なのである。
3 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 2.0
期待はずれ!,
By
レビュー対象商品: The Testament (マスマーケット)
前半はストーリーの展開も早くさすが!!という感じでしたが後半、特にラストは期待はずれでがっかりでした。 いつもの読者を飽きさせない魅力が無かったような気がします。 初めてJohn Grishamの作品を読む方には The Firmなど他の作品から読むことをおすすめします。
あなたの意見や感想を教えてください: 自分のレビューを作成する
|
最近のカスタマーレビュー |
|
この商品のクチコミ一覧
クチコミを検索
|
関連するクチコミ一覧
|