シェリアの思いやアスベルへの恋心、ヒューバートの家族に対する複雑な感情とパスカルとの関係、
アストンの子供へ向けた愛情、教官とカーツの昔話や立場の変わってしまった現在など、
仲間のエピソードやサブエピソードが丁寧に扱われていて好印象を持ちました。
ゲームにはない仲間視点での心情がいろいろわかるのは、やはりファンとして嬉しい。
派手さや強烈な吸引力はないものの、安心して読みすすめられます。
ただ物語の中心部分であるアスベル、ソフィ、リチャードの関係は
ゲームに比べて少し影が薄く感じました。
ソフィやリチャードの存在、三人の友情や守れなかったという悔いが
アスベルのキャラの根本的な原動力であると思うので、
このあたりはやはり子供時代からの彼らの活躍を、しっかり追って読んでみたかったですね。
小説が初めてのグレイセスという場合は特に、回想で所々語られる
昔の三人を断片的にしか知りようがないため、キャラに感情移入がしにくく、
その三人が対立して戦わなければならない悲劇や葛藤などのドラマが、
構成上、もうひとつ生かし切れなくなってしまっているよう感じます。
そのため、後半部分の盛り上がりがもうひとつで、残念でした。
全体的に無難な内容で、グレイセスが好きならファンアイテムの一つとして
買ってみても…といった感じですかね。
未来への系譜編も出るかもしれないとのことで、期待しています。