なんと出来がいいのは最初の殺人が起きる冒頭だけ。
実に丁寧に描かれていて、シリアル・キラーの誕生に思わずゾッとしたのに、時間が現在になった途端、視点のボヤケた作りになってしまった。
登場人物に肉迫した描写がなく、ストーリーの上っ面だけをなぞっている。犯人の人物像や背景に近づく伏線を一杯張ったのに、張りっぱなしで放置。
これは完全にクリエイター側の力不足だ。
久しぶりにナチュラルな美しさが際立っていたアンジェリーナ・ジョリーなのに、優秀なプロファイラー・エージェントに見えないのは事件そのものの描写が全くなく、活躍している場面がまるでないから。『ボーン・コレクター』のD・ワシントンや『セヴン』のM・フリーマンのように、観客を唸らせる見せ場を作ってもらえなかったのは辛い。見終わって印象に残るのはイーサン・ホークとのベット・シーンだけになってしまった。(このシーンは凄く力が入って撮ってましたね、監督・・・。)
外見的に個性の薄いイーサン・ホークは、ヤドカリ・シリアル・キラーに適役で、全編通していい演技をしていただけに、とても残念。作品の出来の悪さで、それも無駄になってしまった。
『24』で復活したキーファー・サザーランドの起用は話題とりだけなのか、姑息にも単なる犯人の目くらまし用で使われただけなのか、可哀想なくらいの扱い。あまりに気の毒。
酷評だけど、俳優陣は揃っているので、「お気に入りの俳優が出ている」という人や「そういうグズグズのダメ映画が好き!」 という人にはかえって結構オススメかも。