第二次世界大戦のドイツ軍に戦車150両を撃破したエースがいた。オットー・カリウス。彼はこの戦争を生き抜いて後にこの回顧録を残すことになった。本の中の彼は勇猛ではないけれども自分に与えられた任務に対して熱意をもって取り組み強い信念でやり遂げた。ありがちな誇張や自慢話は無く、むしろ事実を積み重ねるような淡々とした表現が戦争という狂気の世界で自分を見失わずに生きることの難しさと大切さを感じさせる。宮崎駿はこの本を読んで感動し、ドイツまで本人を訪ねてインタビューを行なっているがその行動を理解できるほどの魅力を備えている内容である。圧巻は2両のティーガーでソ連戦車17両を破壊したマリナーファの戦闘であろうが(下巻に収録)それはカリウスの才能ゆえというよりは手を抜!!かずに最善を尽くすことを当たり前のように行なってきた者だけがつかむことを許された前髪であろう。これを読むことで戦勝国によって作られたナチスドイツのイメージとは別の姿があることを理解できる。特に戦後のアメリカ・ハリウッド映画が我々に植えつけたイメージがいかに偏ったものかおわかりいただけると思う。