葬式になると、いつもは感じない血族や親族のつながりを感じたり、だれかの思いがけないエピソードが語られたりする。
満州から引き揚げてきた祖父と祖母から始まった根無し草一族。新宿のさびれた中華店「翡翠飯店」の三代にわたる物語。
大人物も大悪人もいない。ただ、流されて生きている。だけどここには日本という国のすべてが書かれている。
大戦、満州引き揚げ、戦後、学生運動、浅間山荘事件、マンガ文化、バブル、コギャル、オウム真理教…よくもこれだけこのボリュームに自然に盛り込めたものだ。角田光代はどえらい作家になった。大傑作だ。
ツリーハウスみたいな危なっかしくて隙だらけの子どもの秘密基地。空から見たら、どんなに立派な家庭も一族も、ツリーハウスや翡翠飯店のような危なっかしいものなんだろう。