「ツボに訊け」。そのものズバリのタイトルがとても印象的ですが、中身もそのものズバリ。経絡は迷信、経穴は妄想だけど、人の身体を変えることができる事実を持っているものと断言。適当な治療院や適当な鍼灸師教育の実態など、鍼灸を取り巻く事柄を一つ一つ率直に紹介していきます。途中、鍼灸素人のフリーライターの抜き打ち治療院ルポタージュがありますが、軽快なタッチでかかれており、しかし鍼灸治療院での実際の治療の様子がよく分かって、とてもおもしろいものです。
しかしこの様に批判的とも言えるほど鍼灸治療院の現実を紹介するのは、本書のサブタイトルにあるように、「鍼灸の底力」を著者が確信しているからです。自身も鍼灸師であり、本書第5章でも東洋医学の古典に則った身体観からツボとその治療を解説しており、簡潔ながらも古典の理合の素晴らしさを垣間見ることができます。鍼灸やツボというものが、東洋医学的な見地にたって始めてその底力を発揮するのだと分かります。
本書は200ページほどの新書で、かつ読みやすい文体、鍼灸治療院の実態のルポやその解説など、鍼灸初心や向けの内容になっています。鍼灸の実際や奥深さを知るには恰好の入門書だと思います。