最初、さっと流し読みしたときは
「う〜ん 結構ありがちな設定じゃないか」としか思わなかったんです。
でも流し読みで捨て置くには惜しい作品だったのでもう一度じっくり読み進めていくうちに「これはちょっとすごいかも」と思えてきました。
一文字一文字を丁寧にひろって読んでいくと それらが互いに化学反応を起こし、突然文章がきらきらと輝いて見え始めるんです。
まぶしくて眼を開けていられない類の輝きではなく、温かな光に包み込まれているかのような そんな輝き。
キラリちゃんの話も 頑固親父の話もベタっちゃベタなんですが
それぞれの優しさが 無理なく心に染み渡ってきます。
作品の中ほどに入れてある一編の「毒」もこの作品全体を引き締めていますし
何よりこの作品は 最後の「使者の心得」のためにそれぞれの作品があるような気がします。
歩美くんの父母の死の謎も読み進めていくうちになんとなく予測できるのですが
おばあちゃんが歩美くんに継いでほしかった理由や
父母の死の真相を知り、乗り越えてなお 父母には会わないと決断する歩美くんの姿に私たち読み手はある種のカタルシスを感じるのではないでしょうか。
私はたった一度のチャンスを誰のために使うのだろうか。
私のためにたった一度のチャンスを誰かが使ってくれるのだろうか。
ふと そんなことを考えてしまいます。
読もうかどうか迷っている方は ぜひ お手に取ってみてください。