ツキノワグマは、アジアクロクマの一種。アジアクロクマは、森林で雑食する点で、アメリカクロクマとマレーグマと同じ。同じ森林でも植物食のアンデスグマ、パンダ、昆虫食のナマケグマとは違います。また雑食でも、開けた森林や草地にいるヒグマとは異なります。極地のホッキョクグマは肉食です。
この熊は、見通せない森林にいて、おまけに生息密度が低く、更に急峻で危険な山岳地帯にいます。そのため調査が難しく、長期観察を要します。毎年沢山の熊が里に出て、有害獣駆除され、更に狩猟でも捕獲されます。日本全体には、かなりいそうですが、下北半島、紀伊半島、東中国山地、西中国山地、四国、九州では、存続が危うい。西日本集団は、東日本集団とは違う遺伝的構造で、特に紀伊半島と四国の個体群は特異。生物種の多様性を守る意味でも、各地域での保護が必要です。熊の生息には多様な食物を提供できる森が必要です。生態系の多様性を保証する種という意味で熊は「アンブレラ種」と呼ばれます。
この熊を、4人の研究者が、東日本各地で調査。方法は、1.糞を採取し、内容を分析、食物を特定。2.GPS首輪を熊に装着、熊の位置情報を記録。植生地図と照合し、行動を考察。3.植生地図よりもミクロに植生を現地調査。判明したのは、落葉広葉樹林を好み、食べ物は季節で変わる。更に果実の生産量の年変動により、食性も年変動する。2006年のように山中でドングリが不作だと、広く移動し、里近くのオニグルミや里の果樹なども食べる。
小池伸介が、種子の散布者としての熊を考察。熊は広く移動し、大量に食べ排泄する。しかし、種が多過ぎて弱り育たない。しかし、その糞から種1粒をフンコロガシが、地中の巣に運ぶと、そこから芽が出て木になる連鎖を指摘しています。未知の自然連鎖が、未だ沢山あることが判りました。