少々バイオリンを聴き込んだ人であれば、ハイフェッツの演奏がどれ程凄い技術に支えられているかがすぐに分ります。
ただ、それゆえにやっかみが入った評価が多いような気がするのは私だけでしょうか?
所謂「テクニックは凄いけどそれだけなんだよね。語りかけてくるものが無いと言うか・・・」的な評価です。
なんとなく判りやすい批評だけに特に批評に免疫の無い初心者は鵜呑みにし勝ちだと思います。
好みが入るので敢えて名指しはしませんが「テクニックはあまりないし、他にも見所がなくて、ところどころ媚びた音を出してるだけ」な演奏のCDが売られていたりする中でこのCDはひときわ光っています。
ただ、バイオリン特有の情感たっぷりに爆発したりすすり泣いたりする様な魅惑的な音色を主に求めているなら、ハイフェッツ以外の例えばキョンファなりムターなりを聴いた方が良いかもしれません。
ハイフェッツの演奏はストイックな抑制されたクールな表現を通して内面を覗かせる様な感じです。
ルー大柴のような感情放出系ではなく田村正和(若い人向け)や笠智衆(旧い人向け)のようなクール系(?)と言えば初心者にも伝わるでしょうか?
微妙な表現になるので当然田村正和や笠智衆の方が演技力を要求されますよね。
そうです。
初めに技術ありきではなく、ハイフェッツの表現手法には高度な技術が不可欠だった・・・これが正しいのでは無いかと思っています。
ただ、この表現手法を採用すると感情の豊かさが特徴であるバイオリンの一つの長所を封印する事になります。
そういった意味で、一面的な演奏であるかもしれません。
ただ、こういった演奏方法の面では頂点を極めていると言うのも事実です。
まさに驚嘆に値します。
まずはこのCDを自分の耳で聴いてみて好き嫌いを判断して下さい。