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13 人中、11人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
緻密なディティール,
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レビュー対象商品: ツ、イ、ラ、ク (角川文庫) (文庫)
姫野カオルコによる直木賞候補にもなった恋愛小説。
正しくは「恋愛群像劇」とも言える。 舞台は人口4万人の町。 中学生の隼子と教師の河村。 そしてそれを取り巻く実に多くの人間が織り成すストーリー。 本作最大の魅力はその数多い登場人物の個性だろう。 思春期特有の微妙な心理の複雑さや陰湿さが、実に細かく、丁寧に描かれている。 生き生きと、伸び伸びと、時に鬱々と。 しかし彼ら脇役の個性が主人公二人を損なう事は決してない。 緻密な脇役というディティールを丁寧に確実に積み上げることによって、 むしろより主人公を引き立て、且つストーリーの重みと厚みを増す役割を見事に果たしている。 ラストが爽快な恋愛小説の傑作。
8 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
読み進むのがもったいないと思った小説、ありますか?,
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レビュー対象商品: ツ、イ、ラ、ク (角川文庫) (文庫)
さすがとしか言いようの無い作品。
冒頭からぐんぐんと引き込まれ、寝食も忘れて読みふけっていた。 物語中盤にさしかかる、準子と河村の最後の逢瀬のあたりから、私は読み進めることを躊躇しはじめた。 巧みな心理描写に圧巻され、一行読むことにハッとさせられるほどだった。 準子と河村がどうなるのか知りたい、早く先が読みたい。 姫野カオルコなら、絶対に期待を裏切らない展開を用意してくれるはずだ。 でも、こんなにも意地汚くて、俗物的で、いやらしくて、幼稚で、最高に魅力的で最高に甘い物語が終わってしまうことが切なくてしかたなかった。 その文字の一つ一つをなぞるように、ゆっくり、ゆっくりと読み進めていった。 たかが恋愛小説でこんなにも気持ちが昂ぶるとは思ってもみなかった。 準子と河村の最後の逢瀬のような経験が、自分自身にもあったからかもしれない。 モンブランのように甘くやわらかな唇に、胸焼けを起こした夜が。 もう大人だから・・・ そう割り切って、義務のような、打算だらけでカタチだけの恋愛をしていませんか? もう一度、溺れるように恋に堕ちたい。そう思わせてくれた作品。 傑作!!
21 人中、17人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
すべてをひっくり返した画期的な恋愛小説,
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レビュー対象商品: ツ、イ、ラ、ク (角川文庫) (文庫)
なぜこれまで小学生から中学生にかけての時期を主体的に描いた恋愛小説がなかったのだろう。この小説はまさにコロンブスの卵。しかも、そうした構造上のアイデアだけでなく、ディテールの細かさ、筆の勢いなど、「姫野カオルコ」はこれまでにまったく体験したことのない才能である。小中学生の頃にこそホンモノの恋愛があったという共感は世代を問わないだろう。著者があえて時代背景を特定するような固有名詞を使っていないのもそうした配慮なのだと思う。小中学生の恋愛は世代的なものではなく普遍的なものだ。誰もがこの小説に描かれる小中学生時代のエピソードに類似した想い出を持つはずである。著者の設定上のもうひとつの工夫は舞台を「田舎」に置いたことだ。これも地域を特定していない点は、時代と同様の配慮だと思うが、田舎は都市に比べて社会的な制約、抑圧がある分“燃えやすい”。小中学生の恋も急進的になるのだ。戦後の文学は、社会のモラトリアム化と呼応して高校、大学、社会人…と間延びした恋愛、あるいは恋愛不在を描いてきた。しかも都市、東京やその郊外を舞台にした小説がメインストリームだった。「ツ、イ、ラ、ク」は、そのすべてをひっくり返した点で画期的な恋愛小説である。この小説の素晴らしい点を挙げれば切りがないが、もう1点だけ述べるとすれば、“複層的な他者の視線”である。「AがBに気づいたことを、Cも気づいた」。文章としては1箇所しか出てこないが、著者の意識の中には常にこの視線がある。いずれにしろ昨今、こんなに圧倒的な小説は読んだ事がない。泣けた。文句なくお薦めである。
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