さすがとしか言いようの無い作品。
冒頭からぐんぐんと引き込まれ、寝食も忘れて読みふけっていた。
物語中盤にさしかかる、準子と河村の最後の逢瀬のあたりから、私は読み進めることを躊躇しはじめた。
巧みな心理描写に圧巻され、一行読むことにハッとさせられるほどだった。
準子と河村がどうなるのか知りたい、早く先が読みたい。
姫野カオルコなら、絶対に期待を裏切らない展開を用意してくれるはずだ。
でも、こんなにも意地汚くて、俗物的で、いやらしくて、幼稚で、最高に魅力的で最高に甘い物語が終わってしまうことが切なくてしかたなかった。
その文字の一つ一つをなぞるように、ゆっくり、ゆっくりと読み進めていった。
たかが恋愛小説でこんなにも気持ちが昂ぶるとは思ってもみなかった。
準子と河村の最後の逢瀬のような経験が、自分自身にもあったからかもしれない。
モンブランのように甘くやわらかな唇に、胸焼けを起こした夜が。
もう大人だから・・・
そう割り切って、義務のような、打算だらけでカタチだけの恋愛をしていませんか?
もう一度、溺れるように恋に堕ちたい。そう思わせてくれた作品。
傑作!!