プログレやハード・フュージョンなど小難しい音を聴き続けていると、豪快でストレートなロックを聴きたくなる。ただ、ストレートであっても旋律は分かり易い方が良い。そんな時はチープ・トリックだ。ムダな音がなくタイトでストレートなパワー・ポップ。昔から彼らの楽曲には親しみ易いフレーズが多く、それはビートルズや10CCあたりからの影響を強く受けているからに他ならない。この復活アルバムでもその作風は全く変わってはいない。ギターのリック・ニールセンはギター小僧から羨望のまなざしで見られるようなテクニシャンではなく、むしろそういった空気を嫌うタイプの「豪快さ」で売る“ギター担当者”だ。その姿勢はバンド全体にも大きな影響を及ぼしており、世間の風評など全く気にしていないかのような潔さを感じる。かつてスティーヴ・マリオット、ピーター・フランプトンの在籍していたハンブル・パイのサウンドをもっと大味にしつつ、メロディーの受け容れ易さを押し出したようなサウンド。ややもすると「単調」という見方をする人もいるかも知れず、今でもアメリカでは中堅どころに位置付けされているバンドだが、このバンドはコアなファンを少しずつ拡大して行ってジワジワとビッグネームになって行きそうな気がする。かつてはTOTOやジャーニーの台頭で影が薄くなってしまっていたが、何年間か活動休止時期もあったけれどもバンド・ネームとして継続しているバンドってのが最後は勝つんだよね。脳髄に直接訴えてくるようなストレート且つ親しみ易いロックを聴きたくなった時は、ぜひ聴いてみて下さい。