僕が初めてジャニスのアルバムを聴いたのは多分高校生のころ。CDなどまだない時代で、友達から借りた日本編集のベスト盤だったと思う。その時は耳障りのよいポップスに夢中だったから、正直ジャニスの良さが分からなかった。あれから35年近く経ち、気が付けば僕のコレクションにはジャニスのアルバムが10枚近くある。
死後もベスト盤や未発表ライブが次々と出され、いかにも多くの作品を残したように思われているが、実は彼女が生前残したアルバムはわずか3枚にしか過ぎない。発売当初はBBHC名義で出された実質的なデビュー作に当たる本作は、荒削りな演奏がかえって彼女のボーカルの魅力を引き出している。
多くのカバーで知られるガーシュインの名曲「サマータイム」は、1度聴いたら忘れられない妖しい魅力を放っている。続く「心のカケラ」は、恐らく酒でもドラッグでもセックスでも埋められなかったであろうジャニスの心の闇を見事に描いている。求めても求めても逃げ水のように届かない充足感を求めてジャニスは歌い続け、そして突然、永遠に姿を消した。
会ったこともないし、これからも会うこともないけれど、僕の心の中でジャニスは永遠に生き続ける。生存していれば67歳。そんな姿は想像もできないけれど、ジャニスは僕にとってカレン・カーペンターと並ぶ最高の女性ボーカリスト。そういえばカレンも若くして逝ったっけ。