4人の直木賞作家がそれぞれ、スペイン(角田光代)、イタリア(井上荒野)、フランス(森絵都)、ポルトガル(江國香織)、各土地の風土や料理を題材にして、現地の人々を描いた短編集です。
人の心の様々な在りようが、料理のある風景と調和することで、より鮮明に、情緒と質感を伴って浮かび上がってくるような構成になっています。
各話の主人公は、難民キャンプで食事を作る国際NGOのメンバー、意識不明の歳の離れた夫を見舞い続ける女性、田舎に住む信心深過ぎる母親との関係に葛藤するシェフ、恋人の浮気に悩む同性愛の男性、と作家によって四者四様です。
いずれも、どこか考えさせられるような「後に残る」作品でしたが、特に森絵都さんの「ブレノワール」には共感と言うか、納得させられるところがありました。