本書は、チンギス・カンの事跡や13世紀頃のモンゴル政権の発展の様子などをコンパクトに手際良く説き明かすものです。「今さらチンギス」などと思うことなかれ。著者の専門は考古学というだけあって、最近の発掘調査の成果がふんだんに取り入れられています。文献と物証という双方向からのアプローチにより、実証性と立体性の確保が図られています。
内容面では、
(1) モンゴル軍の強さを鉄資源との関係で分析していること、
(2) 各王子の分封を交通路との関係で整理し、西方遠征等への布石として説明していること、
(3) チンギス霊廟の政治的ポテンシャルについて言及していること
などを新鮮に感じました。
世界史上最大の謎の一つとされるチンギス墓所の所在についても筆者は大胆な見解を提示しており、モンゴル・ファンにとっては大いに興味を惹かれるところと思います。