戦争は、どんなにカッコ良く見えても、つまるところ人殺し。直接、間接を問わず、どこかで誰か…戦争当事者に関係無く平和に暮らしていた人までも…が殺されるもの。死ぬのではなく、殺される。だから、恐ろしく、悲しく、辛く、不条理で、理不尽。目的が何であれ、理由がどうであれ。(『ちいさなジャンボ』)
愛は、尊いもの。強く、美しく、貴いもの。でもそれを貫くのは、必ずしも容易いことではない。時に苦難を味わい、打ちのめされ、大切なものを失ってしまうこともある。でも、どんな犠牲を払っても守り抜こうとするから、だから愛は更に美しさを増す。(『バラの花とジョー』)
身を挺しても我が子を守る母。その母の仇を討つため、仔羊は、彼を超えるために、そして彼をいつか倒すために、あろうことか憎いそのオオカミに弟子入りする。
仲間たちの生き方、自分自身の今までの生き方を、『小さな小屋の中で怯えながら暮らす弱虫の生き方』と仔羊は切り捨てる。そんな仔羊を、オオカミは、何故か、突き放しつつも厳しく鍛え上げていく。
羊でありながら殺戮に染まり、オオカミと共に野に生きるかつての仔羊は、いつしかオオカミを父のようにすら思うように。しかし、或る晩…
何だか、ヤクザ映画か、時代劇、ヒロイックファンタジーか西部劇のような筋立て。母の愛、ひねくれた少年の成長、育ての親との対峙と決別、道を踏み外した者達…孤独なはぐれ者と、外道に身を落とした者…の哀しい末路。(『チリンの鈴』)
…そんなことを感じる作品でした。
聞いた話ですが、子供って、単なるほんわかほのぼのハッピーストーリーより、むしろ、悲しいお話の方が強く印象に残る・好きになることが少なくないのだとか。
私自身もそうで、本作は、『やさしいライオン』のビデオが無いか探している中で見つけたものでした;原作絵本は、私が生まれて初めて自力で読んだもので、特別思い入れが強い作品でした。
この作品も、悲しいお話でしたが、だからこそ、心の深いところに、長く残るんじゃないでしょうか。
やなせ氏の作品では一貫して『愛や正義には痛みを伴う』と言うことが主張されているみたいですが、そのことが改めて強く感じられました;やや古い作品群ではありますが。
中には、視覚障害者に対する差別用語であるとして近年は用いられなくなった言葉があったりもします。また、大人の目から見ても、(はっきり流血するようなことは無いにせよ)やや残酷な描写があったりもします。が、それでも敢えて、小さな子供たちにも観て欲しい、是非。きっと、強く感じ入るものがあると思います。
そして、是非大人にも観て欲しい、一緒に。大人の見方を加えることで、この作品の、重い、けれどとても大切な主張から、きっと得るものがあると思いますから。
もっと、評価されても良い作品だと思います。