みんな子供のときがあった。そして、子供の時に大切にしていたものがあった。ピンクの
うさぎの着ぐるみが「わたし」に見せる、人それぞれのかけがえのない物たち。そして
「わたし」は、チヨ子を思い出した・・・。表題作「チヨ子」を含む5編を収録。
宮部みゆきが紡ぎ出すちょっぴり怖い不思議な世界。そこにいざなわれ、つかの間現実を
忘れてしまった。表題作の「チヨ子」は、ファンタジー的な心温まる物語だった。けれど、
「雪娘」のようなホラー的な物語もある。ユキコが殺された場面は、読んでいると鮮やかに
浮かび上がり眼前に迫ってくるようだった。その生々しさに背筋がぞっとした。ラストへの
持って行きかたもよかった。また、「オモチャ」に出てくる玩具屋のおじいさんの身の上には
切なさを感じた。彼は幸せだったのだろうか?余韻が残る・・・。「いしまくら」は、ある
事件を通して父と娘の距離が次第に縮まっていく感じが心地よかった。事件の内容もまあまあ
面白かった。「聖痕」は宗教的な雰囲気の話で、この中ではちょっと異質な感じがした。集団が
「神」を作り上げるのだろうか・・・?
ひとつの箱の中に、いろいろな色や味のお菓子が詰まっている。そんな感じのする作品だった。