パンクの基本的な要素の一つとして「批判」が挙げられる。70年代のイギリスでは国家に、90年代のアメリカでは商業音楽に対する批判がムーブメントとなった。
チョモランマトマトをあえてカテゴライズするならパンクやポストハードコアになると思う。では彼らは何を批判しているのだろうか。歌詞には社会に対する嫌悪がずらずらとラップのごとく述べられている。対象はファスト風土、偽善者パンクス、物心崇拝、ステレオタイプ等々。しかし「言いたいことを言うのに必死だが言い切った実感はない」とthrough your realityの歌詞にあるようにその批判は空振りに終わっている。言葉を紡いでも社会を描くことができない。それはむしろ現実社会の無意味さを表しているようだ。
相対性理論はアルバム『ハイファイ新書』で、現実と距離を置き、言葉遊びを用い無意味な社会を描くのに成功した。一方チョモランマトマトは真っ向から現実と対峙しようと試みるが対峙できず、かといって自分自身とも向き合えず、ジレンマに陥っている。いわく「現実味のない生活をし 自分を見失って家に帰ってくるのに 和みたいと思いつけたTVは全くリアリティに欠けていた」のだ。PCやゲームに逃げたくもなる。
どちらにしても話題の某バンドにしても、共通しているのは現実社会よりもネットにリアリティを感じていることだと思うが、それがとても現代的で他人事とは思えない。